プレゼントは思いの表れ

 トントン
「プレセア〜,今大丈夫か?」
「あっ,はい.少し待ってください」
 昨日の食事の時に言っていた出発時間の30分ほど前にロイドはプレセアの部屋に向かいドアをノックした.その声を聞き,プレセアは急いでドアを開けた.
「どうかしましたか?出発時間はもう少し後のはずでは……」
「いや,ちょっとな…………」
 ロイドは少しはにかんだ笑顔で笑った.

プレゼントは想いの表れ

「これ……プレセアに渡そうと思ってな」
 そう言いながらロイドは紙袋を取り出した.
「それは昨日行った雑貨屋のものじゃないですか.必要なものは昨日渡されたと思ったのですが……」
「いや,そうじゃなくて……なんていうか……プ,プププレ……」
「プレ?私がどうかしましたか?」
 明らかに言い淀んだロイドの言葉からプレセアは自分の名前と勘違いしたようであった.
「これ,プレセアにプレゼントしようと思って買ったんだ!!」
「えっ!?プ,プレゼントですか?」
 プレセアはビックリしながらもその紙袋を嬉しそうに受け取った.二人がエクスフィア回収の旅に出てからしばらく経つが,その間にロイドがプレゼントを贈 ることなどなかったことだった.
「で,でもどうしてですか?」
「昨日,雑貨屋で買い物をしていた時にそれを見つけてな.プレセアに似合うと思ったんだ」
 プレセアが紙袋を開けると中には青いリボンが入っていた.そのリボンをしっかりと握り,
「ありがとうございます.とても……嬉しいです」
「喜んでもらえたようで俺も嬉しいよ」
「でも,どうして昨日渡してくれなかったんですか?」
 プレセアが言う事も尤もである.雑貨屋に寄ったのは昨日の夕方,それから宿屋でもほとんど一緒に行動していた.渡す時間はいくらでもあったはずだ.
「昨日の夜に渡したらリボンだからつけてもすぐ外すだろ.だからかな?」
「ふふっ,そうですか.では,このリボンつけてみますね」
 プレセアは今つけているリボンを外し,プレゼントされたリボンをつけようとした.
「あっ,ちょっと待ってくれ!!リボン,俺が結ぶよ!!」
「えっ,リボンなら一人で結べますけど……」
「自分で結びたいんだ……ダメかな?」
 プレセアは笑顔になって頭を下げた.
「……そんなことありません.よろしくお願いします」

「リボンで髪結わえるのって結構難しいんだな」
 しばらく経ったが,まだロイドは片方の髪も束ねられていない.手は器用なんだが,不慣れなことをやろうとして戸惑っているようであった.
「やはり,私が結びましょうか?もう出発の時間ですし……」
「もう少し待ってくれないか.俺が……プレセアに……結んでやりたいんだ」
 ロイドは照れた様子で少し視線をずらし,それでも一生懸命結ぼうとしていた.プレセアも照れた様子で……
「私もロイドさんに結んでもらいたいです」
と答えた.
「でも,こんなに喜んでもらえるならもっと色々プレゼントしておくんだったな」
「ロイドさん,過去形ということはそれはもうプレゼントは頂けないのですか?」
「そんなことない!!プレセアが喜んでくれるならいくらでもプレゼントするよ.でも,どんなのが喜んでくれるのか分からないからなぁ」
「プレゼントは何をもらったかではなく,その人がプレゼントをあげようと思ってくれた気持ちが嬉しいんです」
「そうだな.多分そうなんだろうな」
 しばらく会話もなくなって,ロイドは髪を結わえることに集中した.

「よし,これでどうだ!!」
 両方の髪を結わえ終わり,すごく満足げにロイドは叫んだ.
「ロイドさん,ありがとうございます.それではそろそろ出発しましょうか?」
「何だよ,プレセア〜.それだけかよ」
 お礼を言い終わるともう出発の準備に取り掛かったプレセアにロイドは不満そうに言った.
「冗談です.先ほどから言ってますようにすごく嬉しいですよ.それで,似合ってますか?」
「俺はかわいいと思うよ」
「そうですか……」
 二人とも照れながら顔を見合わせた.
「気持ちが大事だとは言ってたけど,実際プレセアは何をもらったら嬉しいんだ?」
「そうですね.指輪とか欲しいんですけどね……」
「ん?なんて言ったんだ?小さくて聞こえなかったんだけど……」
 プレセアは少しあわてた様子で言い直した.
「えっと……やはり,ロイドさんが考えてくれたものを頂ける方が嬉しいです」
「そうか.なら,色々考えてみるよ.それじゃ準備に部屋にいったん戻るな」
「はい.それでは待ってます」
バタン
 ロイドがいなくなると鏡を見て,ゆっくり微笑んだ.
「まだ時間はありますからゆっくり待ちましょう.私はいつまでも貴方について行きますから……」
 そんな決意を胸に秘め,プレセアは準備の終えた荷物をドアの近くに置いてロイドを待った.ロイドのくれたリボンを鏡越しに見つめながら……




後書き
 大学のゆかたまつりで描いた絵の設定から広げた話でした.描写が少なく会話ばかりですみません.
 私の脳内,ピンク色でいっぱいです.TOSはロイドの相手役が自分で選べるところが好きです.いまや,常に好感度一位はプレセアです.
 好感度スキットを見る限り,プレセアはジーニアスよりロイドを気にしているように感じます.まあ,好感度スキットだからと言われれば身も蓋もないんですが……
 見れば見るほど違和感のある絵ですが,結構気に入ってます.精進してよりいい絵を描きたいですね.
 あと,プレセアは難しすぎます.目が公式のものとは違ってると思いますが,その辺はご容赦を……(公式に似せようとすると怖くなってしまいました)
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