休息

「久しぶりの休息ですね」
「まあ,仕事もそんなにしているとは思わんがな」
 久しぶりの休息でキャロルは他のメンバーを誘って散歩に出ていた.他のメンバーは紅,プリノ,散葉,妃杈である.小桃は足を怪我しているために一緒に行けず,昴は……
「小桃が行かないなら俺も行かない.小桃の面倒は俺が見るからプリノは行くといいよ」
と言って小桃と一緒に残っている.まあ,本心は「小桃と二人きりになりたい」なのだろうが……
「コモちゃんたちに何かお土産買わんといかんね〜」
「そうですね.紅さん,しょ……じゃなくてプリノさんの面倒しっかり見といてくださいよ.散葉さん,少し急ぎましょう」
 後方を歩いている紅をからかってからキャロルは散葉の手を引っ張って先を急いだ.
「っ!」
 明らかに嫉妬している怖い顔で妃杈がその後を追った.はっきり言って物凄く怖い.
 いきなりの行動であっけに取られた紅とプリノの二人は取り残されてしまった.
「あっ,みなさん.待ってください!!」
 正気に戻ったプリノは追いつこうと少し小走りをした.
「馬鹿!そんなに急いだら……」
ガッ!!
 紅が注意する前に案の定プリノは足を引っかけた.それも紅の前で……
ドカッ!そんな音を立てて,紅に思いっきりぶつかった
「ちょ,ちょっと待て」
 いつもならそれで済むはずなのだが今日は場所が悪かった.土手の上を歩いており,振り向きざまだったので紅のバランスがおもいっきり崩れた.
ズサー
 二人共景気良く土手から滑り落ちた.紅はプリノの下敷きになりながら……
「く,紅!大丈夫ですか?」
「だから急ぐなと言ったんだ.そっちこそ大丈夫か?」
「ええ.紅がクッションになってくれたおかげで」
「そうか.そろそろ行かないとあいつ等に置いていっ!」
くっ
 紅が明らかに苦痛の顔をした.その手は足首を押さえている.
「足……痛めたのですか?」
「……少しな.お前はあいつ等の所に先に行っといてくれ.俺はここで少し休んでおく」
 先ほど明らかに顔をしかめたため,誤魔化すことができないと思い正直に答えた.プリノはそれを聞くと首を横に振った.
「私のせいで紅を怪我させたのですから私も残ります」
「お前のせいじゃない,気にするな.俺がバランス崩しただけだ」
「でも……」
 暗い顔をするプリノを尻目に紅は土手に横になった.俯きながらプリノはその近くに腰を下ろした.
「まあ,休日にわざわざあいつらの散歩に付き合う必要もないだろう.ここの景色もそう悪くない……のんびりするさ.それにこれぐらいなら少し休めば治る. 本当に気にしないでいい」
「……紅がそう言うなら………でも,謝らせてください.ごめんなさい」
「ああ」
 一段落ついた二人はしばらくそこから景色を眺めた.
「でも,本当に綺麗な景色ですね」
「ああ,いい景色だ」
「……ふふっ,紅はこういうものの前だと本当にいい顔をしますね」
「………まあ,こういうのは嫌いじゃないからな」
 照れた顔で紅は少し顔を背けた.
 そのまま足を少し回し痛みが無い事を確認すると,すっと立ち上がり土手を上がっていった.
「そろそろ行くか」
「足は大丈夫なんですか?」
「ああ,問題無い.っと,あいつらが戻ってきたようだな」
 道の先に小さくキャロルたちが歩いているのが見える.
「紅さん,何所に行ってたんですか!急にいなくなるからビックリしましたよ」
「すまない.土産はちゃんと買ったのか?って,そこから見えてる異様に長い物体は何だ」
 散葉の持っている買い物袋からは何とも言いがたい長い物体が飛び出ている.
「これですか?何か面白そうだから買ってみました」
「………」
 用途のはっきりしないものは土産にするにはどうかと思う.しかし,こんなものでも小桃は喜んだのであった.


後書き
 大学ゆかたまつりで描いた絵から膨らましている話です.
 絵を描いている時は話を考えながら描いていましたが,いざ文章にしようとすると思っているのと変わっていました.おかしいなぁ.
 プリノのドジの被害にあう紅……そんな感じです.……休息でしょうか?まあ,許してください.
 先輩方に「エロイエロイ」と言われました.そんなつもりはないんですがねぇ
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