MissingBlue


シナリオ・あらすじ
 学校一の美人として有名な「丹雫瑠羽奈」とひょんな事をきっかけに一方的に交際宣言をされる「牧村功司」.しかし,瑠羽奈は積極的かと思えばはぐらかす,そんな謎めいた言動のため功司は混乱する.幼馴染でいつもそばにいた「璃月沙夜」ともこの交際で疎遠になるわけでもなく,今までどおりであった.
 そんな中,「春日瑞希」が転校生として功司と同じクラスに来た.まじめで物静かな彼女はなかなかクラスに馴染もうとしないが,初対面のはずの功司に水晶を渡して「思い出して……」と告げる.理由が分からず考えている功司に瑠羽奈はいつもどおりデートに誘うのだった.

 ここまでが選択肢の無い共通部分でこのデートに誘われたときからの選択肢でまったく違うシナリオで進んでいきます.
 この物語の舞台は主人公「牧村功司」が作り出した現実と幻想の狭間にある移ろいゆく不安定な世界……夢の世界です.功司は現実世界で交通事故に遭い,現在は病院で意識不明中である.そのため,功司が選択していくと共に世界は形を変えていきます.今現在どこの世界観に属しているのかは3Dマップで自分のルートを確認することが出来ます.A〜Fまでのルートがあり,Aに近いほど現実世界よりでFに近ければ幻想世界よりの世界観となります.タイトルの「MissingBlue」はおそらく「あいまいな青」という意味を含んでおり,現実世界=緑,幻想世界=赤のイメージでどちらにも属していないことを表していると思われる.



キャラ紹介
丹雫瑠羽奈【にしずくるうな】(CV.宮村優子) 登場ルート:全て 攻略ルート:F
 功司の一つ年上の恋人で(見た目が高校生には到底見えないが)聖遼学園高等部の3年生.陽気でノリがよく,かなり目立ちたがり屋の少女だが,正体はサキュバスである.サキュバスである彼女は交通事故で意識不明になっている功司の魂に出逢い興味を持ちこの幻想世界に現れて,無意識に現実から逃げていた功司の願いを叶え新たな成長する世界を創造する.功司と共に新たな世界を創造することを望むため,元の世界に戻そうとする瑞希たちとは対立している.もともと精神体で実体は無いため今の姿は自分で考えて作り出した姿なので(他の幻想世界の住人は功司が創造した姿である)功司に気に入られているか不安に思っている.

璃月沙夜【りつきさや】(CV.松来未祐) 登場ルート:全て 攻略ルート:C
 功司のクラスメイトで,幼馴染.おとなしく控えめで,料理が得意な美術部員.いつだって功司をやさしく受け入れてくれ傍にいてくれる.そんな沙夜は功司にとってとても安心できる存在だった.しかしいつだってそばにいて一緒に育ってきたのにその記憶は功司の中ではあやふやだった.
 沙夜は瑞希を否定したために行き場が無くなった情報と小さいころに捨ててしまった絵画への情熱が融合して生まれた存在.ありのままの功司を受け入れ共に成長してくれる存在で,功司の理想の少女である.そのために全てを功司に決めてもらうことを決心している.そう,その結果自分が消えてしまうことになっても……

春日瑞希【かすがみずき】(CV.友永朱音) 登場ルート:全て 攻略ルート:B
 謎の転校生.そんな印象で現れた彼女の正体は現実世界における功司の幼馴染で恋人.現実世界で功司は虚無主義に陥っており不満が募っていた.だが,瑞希は「自分が死んだらどうなるんだろうな」などと言う功司の事を突き放してしまい,後に功司が事故に遭い意識不明なった事を知り悩みに親身になってあげられなかった事に後悔して幻想世界から現実世界に連れ戻すためにやってきた.
しかし,功司は幻想世界で瑞希の事を否定しており本来の幼馴染でクラスメイトという役ではなく,転校生という役で現れることになった.ショックを受けはしたがこの世界での功司は幸せそうで自分のしようとしている事が正しいのか分からなくなる.そのため,水晶という功司の心の道標を渡し全てを決めてもらうことを決心する.
 物静かで少しミステリアスな雰囲気の彼女であるが,本来の彼女は明るい性格である.しかし,否定されたこの世界では功司の心が左右されているため一抹のよそよそしさがあり本来の性格は出すことが出来なかった.そこが瑞希にとってもすごく悲しく感じるのであった.
 なお,この世界では沙夜が瑞希の家に住んでおり(正確には瑞希の家だった沙夜の家だが)家に帰る事が出来ないので帰る方向が日によって違う.

矢城静乃【やぎしずの】(CV.飯塚雅弓) 登場ルート:A〜D 攻略ルート:B
 功司の遠縁の親戚で神社の一人娘.功司のことはお兄様とかなり慕っている.功司は登校途中の神社で静乃と再会するのだがしばらく思い出すことが出来なかった.瑞希と同じでも功司を現実世界へ戻すためにやってきたが,昔から功司に恋焦がれていたためそのまま帰って瑞希の恋人に戻るより今の幻想世界での現状が心地良く帰ることを強制しようとはしなかった.現実での静乃は許婚問題で軟禁状態のためそう考えるのも無理なかった.
 幻想世界寄りとなるC・Dルートでは方術も使える.もしかすると現実世界でも使えるかもしれないが,現実世界寄りのA・Bルートでは使用していないため判断不能(普通は使えないと考えるが……).静乃の許婚の神代琢巳は爽やかな好青年で静乃を幸せにしてくれると思う.静乃も功司の事が無ければ簡単に受け入れていただろう……

神瞳かりん【しんどうかりん】(CV.幡宮かのこ) 登場ルート:C〜F 攻略ルート:C・D
 ある朝,登校途中にゴリラみたいな体格をしている桃太郎一味の猿怒に絡まれている功司を助けてくれた騎士道部の女の子.華奢な体つきの割りにかなり強 い.功司に献身的で絶対の忠誠を誓っている. 正体は功司の正しくあろうとする心の象徴が小さいころ好きだった絵本の「姫騎士」の姿で現れたものだった.
 故に功司を現実世界に戻す事を使命にしている.しかし,功司が幻想世界を選ぶ,つまりその世界を正しいと決断すると存在そのものに矛盾が生じ消滅してしまう非常に儚い存在.自分の心の変化に悩みながらそれを心にしまい込んで,自分の使命に忠実であろうと頑張る.そんな姿を見て功司はより成長していく……

シーナ・アリール(CV.坂本真綾) 登場ルート:E 攻略ルート:E
 ある雨の日の放課後,帰り道で傘も差さずに雨の中にいる少女に出会う.その少女は外国からある事情で転校してきた功司と同じ2年生で,性格は非常に繊細で周囲の人に対しても心を閉ざしており,勝負事を異常に嫌う.シーナの正体は海の世界から来た人魚で,ある出来事をきっかけに大好きだった歌を忘れるために地上の世界に逃げ出してきたのだった.その出来事に大きくかかわっているマリィが学校に追いかけてきたことと功司と知り合い色々な体験をすることでシーナは再び歌を歌うことを決意する.だがそれは,シーナが自分の世界――海の世界に帰ってしまうこと,つまり二人の別れを意味しているのであった…….
 シーナはもともと人魚で足が無いので歩くのが苦手でよくこけてしまい,足に小さな傷を多数負っているためスカートを長くしてそれを隠している.ちなみにコンサートでシーナが歌うエンディングでは他のエンディングとは違い「AQUA」と言う曲になっている.

美角唯芽【みすみゆめ】(CV.かないみか) 登場ルート:C〜F 攻略ルート:D
 ある朝,妖精のエリスを助けた事で功司のことを正義の人と尊敬するようになった唯芽.彼女に師匠と仰がれて,かりんと共に唯芽の修行に付き合うことになってしまう.その目的はこの学園の面白一味……もとい,「不良」の桃太郎一味を取り締まるためであった.
 自分が「ナマハゲ」――鬼のエリート――であることを誇りに思っており,思い込んだら一直線な彼女.ドタバタな毎日を引き起こす原因ではあるが一つの信念に向かって頑張っている彼女を見て,功司もまた少しずつ成長していくのであった.
 豆が苦手,ドジと言う弱点は持っているが,料理は凄腕で普段の彼女を知っている者からはひどく驚かれる.また豆が苦手でも元が豆ということが分からなければ豆腐なども大丈夫であるなど苦手意識も気の持ちようだったということだろう.

折坂命【おりさかみこと】(CV.茂呂田かおる) 登場ルート:A,B 攻略ルート:A
 教育実習生として学園に来た命.その初日に全校生徒の前で自己紹介をしている最中に「―――――教育実習生の折坂みこ(ピーーーーーー)」とハウリング現象が起きてしまい「みこピー」の愛称を頂くという大失敗をしてしまう.「どんなことでも,最後までやりとげなくっちゃ」と言いながら頑張っている彼女を見ながら功司も少しずつ変化していき,体育祭でマラソンを走ることになった.功司は彼女と特訓をしながら彼女の台詞をどこかで聞き覚えのあると感じるのであった.
 彼女のシナリオは完全にパラレル設定となっており,現実世界での恋人は瑞希ではなく命である.命は実は大食いなので,人間では食べきれない量を食べるというネタが二次小説などで多数使われているようだ.熱血,青春などの展開が好きな保健体育の先生である.

緋山花乃香【ひやまかのか】(CV.河原木志穂) 登場ルート:A,B 攻略ルート:A
 高等部二年生の図書委員で功司とは顔を合わせる度に口げんかをしてしまう女の子.その理由は周りが「女のくせに」と自分を認めてくれない苛立ちに加え,男の身でありながらのほほんと過ごしている功司に対して反発を感じているからである.しかし,その真逆な性格はお互いに感化しあい互いに親しくなっていく.ただ,花乃香の気持ちは違う人にいつも向けられてはいるのだが……
 彼女のシナリオでは功司は普通に夢から覚めるように現実世界に戻っている.が,ただの夢だったと言うにはあまりに功司の知らない現実世界の情報もあったので不思議である.幻想世界の花乃香は現実世界の花乃香とは違う存在であり,花乃香自身は何も変わっていなかった.ただ功司が成長して花乃香に対する接し方が以前とは変わったので花乃香も功司に対する気持ちは変わってきた.
 没シナリオで花乃香はキャラクター性やかわいさが出せなくなったそうで結局は出番も少なくなり,人気が出なかった.ある意味かわいそうなキャラではあった.

牧村功司【まきむらこうじ】
 主人公.絵描きの息子で小さいころには絵を描いていたが今現在では描かなくなってしまった.現実の世界で虚無主義に陥ってしまい幼馴染で恋人の瑞希にもきつい言葉であたってしまう.そんな中,道路に飛び出してしてしまいトラックに引かれてしまう.それは望んで飛び出したのか,ただの事故だったのかは分からないが事実として功司は意識不明の重症になってしまい現在は病院で入院している.だが,サキュバスの瑠羽奈の力により作られた夢の世界が生み出された.現実から逃げたかった功司はそこに逃げ込んでしまう.その夢の世界は幻想世界として新たな現実世界に変わっていこうとしていた.しかし,功司はまだ無意識でその世界を否定していたのであった.
 プレイヤーの分身である「主人公」という存在……だがキャラとして確立させながらも名前を変えることも可能にしており,キャラとして見るか自分を投影して見るかなりきってみるか……それはプレイヤーに完全にゆだねられている.ただ,虚無主義という設定はユーザーにも出演声優にも嫌われる要素になってしまったらしい.不安を色々抱えている少年……その結果,物語としては成長した良いキャラなのだが凄くかわいそうなキャラでもあった.


感想
 主人公の設定や夢オチという世界観のため反感を得ているところもあるが,人気は高い.ただ,人気はあったのに売れなかったという矛盾した事実もあるので不思議ではある.この作品の主たるテーマは「成長」である.厳しい現実を選ぶか心地良い幻想世界を選ぶか,それを色々な選択で決定していく際の功司の成長劇を描かれているように感じる.
 また,現実と幻想のどちらを選んだとしてもそのどちらも正しい選択である.ただ,選択するということは何かを捨てることでもある.そのことを理解して選んでいけるような成長をして欲しい.そんなメッセージも含んでいたように感じました.
 夢の女の子に恋をしたらきっと辛いだろうなということを掘り下げられて出来たこのお話.その夢の女の子である「沙夜」はある意味お約束系な設定であり,それを裏切った彼女のシナリオでのラストシーンの切なさからも人気ナンバー1の座を手に入れている.ちなみに二位は献身的な態度と騎士の凛々しさ&かわいさのギャップで人気を得た「かりん」だった.
 「何が正しいのかは分からないけど自分が正しいと選択したもの――自分の気持ちには正直にそして責任を持って生きていくべきだ」と思わされた作品で色々成長させてくれた作品でもありました.
なお,一番この作品で面白いのは子安武人さん演じる三十六代目桃太郎の存在だと思う……(これは酷評に当たると思う)

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